陶芸家
坂口篤志(さかぐち あつし)
昭和28年9月2日生まれ。東京都出身、岐阜県育ち。焼き物の街、多治見市で陶芸に出会う。27年前に来道。現在は長沼町在住、自作の薪窯を構える。ファクトリーレンガ館に“陶楽”を出店し自作の陶器を販売。また、陶芸教室も営んでいる。趣味は陶芸、ハマっていることも陶芸。とにかく陶芸三昧の、ストレスを感じることがない芸術家。

自宅のある長沼で、自作の薪窯に火を入れている様子。年に2回くらいの間隔で火を入れている。自身の作品はもちろん、陶芸教室の生徒の作品もこの窯で焼かれる。

陶芸教室を行っているレンガ館3Fのアトリエ。息子さんと一緒に作品作りと指導も行っている。より自然感を出せる薪窯で作品を焼いてみたい方は是非!
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【今回のテーマ】
人生を迷わず生きるには
「なんとなく導かれるというのは、自然と自分の好みの方に行っているわけですから、基本的に後悔がないんです」
ファクトリーのレンガ館“陶楽”で自らの作品を販売しつつ、陶芸教室も営んでいる陶芸家の坂口さん。物作りが大好きだった少年は、将来を見据えるのが早く、中学生の時にはすでに芸術家になることを決めていたという。有言実行となった、そのゆるぎない人生をどのようにしてこれまで生きてきたのか。
芸術家は一番物事の付加価値を高める仕事
中学時代には芸術家になろうと思っていました。色々な本で芸術家の生き方を見て、こんな面白い生き方ができるんだったら、芸術家以外にやることないよなと思いましたね(笑)。芸術家というのは基本的に一番物事の付加価値を高める仕事なんです。そこが起点となって回りが動くから。
高校を卒業後、多治見工業高校の専攻科で 3 ヶ月間徹底的に陶器の釉薬を研究しました。その後、陶房へ弟子入り。焼き物を仕事にしたきっかけは結婚です。「最低 1 年仕事をしないと結婚は認められない」と相手の両親に言われて(笑)。
弟子時代、そこで興味を持ったのは、自分が作ったり企画したりして、それが売れて行くという自己完結のシステム。
陶房生活の間に結婚、子どもも生まれ、 3 年後に独立。ゼロからのスタートです。夫婦で働き資金を集め、店と仕事場を構え、自分のアトリエで作った物を自分の店で売るという方式を始めました。お店の空いたスペースには全国をまわって買い付けて来た商品も並べました。自分の店で売ることで、利益率の良さと自由度の高さが得られたんです。
ある時、陶芸教室の生徒から 250 万円の素晴らしい茶碗でお茶をごちそうになる機会がありました。でも、ガス窯で焼かれていたその茶碗を見て、薪窯で焼けばこれを超える作品ができる、「薪窯をやるしかない」と思いました。そして、全国で土地を探し歩き、北海道へたどり着いたんです。
何かやる上で情報収集は非常に重要
小学生の頃から本が大好きでした。特に空想科学小説を好んで読んでましたね。こういうジャンルを読むと「こんな出来事は起こらない」という既成概念の「枠」がはずれるんです。何でも「あり得る」という目で物事を見ることができるようになる。
1人のひとが何十年もかかって一冊の本を仕上げて行くものを、千冊も二千冊も読むということは、何百年の歴史を自分の中に取り込むということです。本はどんどん読みます。目的のジャンルを片っ端から読んで行く。そういう読み方をしていると、「これはためになる」という本がわかってくるようになります。必要な知識を全部知っていると、「これはこうだよな」というのがすぐにわかる。そのジャンルについては誰にも負けない知識を得ることができるんです。そこから取捨選択して最も良い方法論を導きだす。無駄なことをやらなくてもいい。これが目標達成の最短コースです。そういう意味では、何かやる上で情報収集は非常に重要ですね。
イメージを具体的に持つとそれが寄ってくる
わたしは作品を作る他に教えることもやっているわけですが、両方できる人というのは結構少ないんです。かなり多角的な発想がないと無理だからかもしれない。教えることによって、非常に発想力とか企画力とかが増してくるんですよ。相手は生徒として新鮮な気持ちで焼き物をやり始めるわけですよね。その時に新しい発想だとか感動などがこちらにもどんどん伝わってくるんですよ。教えることをしないで1人でじっと作っていると、逆に自分の世界が狭くなってきますよね。物事のイメージを膨らませられなくなってしまう。
わたしは具体的にイメージを持つ方なんです。そうすると、そのイメージが必ず向こうから寄ってくるんですよ。欲しい物がすぐ来る。過去の出来事を色々組み合わせて出て来た現象が「考える」ということなんです。考えて動いてもろくなことがない(笑)。考えずに生きていたら自然と出会った陶芸。今はこれがライフワークです。でも、興味はこれだけじゃありません。体がもっとあったら、彫刻もやりたいし、建築もやりたいし、庭も造ってみたいんです。
大事なのは「なんとなく」
「自分らしく生きる」という言葉をよく耳にしますよね。でも「自分らしさとはどういうことなんだろう」と考えていること自体が、自分らしくないなと私は感じているんです。
私が一番大事にしているのは「なんとなく」。これが意外と重要なんですよ。考えて動くと、たいがい後悔するんです。なんとなく導かれるというのは、自然と自分の好みの方に動いて行っているわけですから、基本的に後悔がない。なんとなく動いてダメだとしても、全然気にならないですよ。始めがなんとなくだから(笑)。
良いアイデアは未来からくるんです。ちょっと大きく言うと直感、インスピレーションと同じ感覚ですよね。常に求めているところに未来が来るんです。求めていなければ、来ても気付くことができない。だからアンテナは常にはっていますね。
今後の夢は、長沼に回廊式の家を作りたいと思っているんです。中庭に畑があったりして、お茶室があってギャラリーがあって窯があって、居住スペースがあって。生活のすべてを網羅している家を作るのが夢ですね。
今回のキーワード
考えてもダメ、「なんとなく」常に求めているところに未来が来る。
お知らせ
陶楽 陶芸教室ファクトリーレンガ館3F 火曜定休
フリーチケット制(10,000円〜)
入会金1,000円、受講料1,000円 粘土代1kg250円〜 など。
予約フォーム:yoyaku@touraku.com
連絡先:011-398-3134
※教室の他に体験教室も行っています(要予約)
詳しくは店舗へお問い合わせください。