好きなモノ、好きなことを追求したイマジネーションの広がる家づくり

畠中 秀幸 さん

札幌市西区在住
有限会社 スタジオ・シンフォニカ代表。奥様と愛犬カイ&シータの4人(?)暮らし。注目の若手建築家として一般住宅から教会まで幅広く手がけている。先月は「札幌市都市景観賞」を受賞。また、音楽家として「北海道吹奏楽プロジェクト」を率い、高い評価を得ている。
有限会社 スタジオ・シンフォニカ
http://www.sinfonica.co.jp/

畠中 秀幸 さん

イメージ写真

 

窓からの風景や光と影を感じストーリーのある生活を

畠中さんは、「家」というハードに留まらず、ライフスタイルそのものを提案する建築家。そしてそこには、必ず「音楽」という企みが隠されている。「音楽のような建築を…、建築のような音楽を…」をコンセプトに、人々が心地よく集う空間を目指しているのだ。

取材で訪れた「途上の家」は、畠中さんの住まいであり、独立後に建てた最初の作品。そして、時には音楽ホールとしても使われている。元々は私道だったという細長い土地と、手稲山のある風景を見た瞬間に強いポテンシャルを感じ設計した。

畠中さんが「開いた生活」と表現するライフスタイルに、寝室や個室という決められた部屋は無い。「その日の時間や気分の変化に合わせて、一番心地よい場所を探しています。少し落ち着きたいときには1階の天井が低い場所、イメージを広げたいときには手稲山を見渡せる場所というように」。まず、自分がどうしたいのかを感じ、そのためには家のどの場所にいたら良いのかを考える。場所に制約されすぎない暮らし方が畠中さんのクリエイティビティに刺激を与えているのだろう。

家の中を車が通り抜けられるユニークな構造。住居として、仕事場として、ステージとして、様々に使うことができる。
家の中を車が通り抜けられるユニークな構造。住居として、仕事場として、ステージとして、様々に使うことができる。

大切な家族カイとシータ。小さな頃から音楽に触れているので、畠中さんの演奏が始まるとカイは気持ち良さそうに歌い始める。
大切な家族カイとシータ。小さな頃から音楽に触れているので、畠中さんの演奏が始まるとカイは気持ち良さそうに歌い始める。

家の中でも一番のお気に入りは、手稲山を借景とした西側バルコニーからの眺め。「僕が建築家を志すきっかけとなったのは、修学旅行で出会った京都のお寺。比叡山の借景、計算された柱の位置などすごい衝撃だった」。そのときの想いがこの眺めに生きている。

「建築を学ぶなら京都」と、京都大学に進学した後は夢中になって寺院を見学したそうだ。「お寺に音楽を感じたんですよね」。

「踊り場にあるグランドピアノは、手稲山を見上げることができる位置にあるんですよ」。ピアニストもきっと開放的な気分で演奏できるに違いない。

畠中さんのお話を伺っていると、自然や太陽光、その土地にまつわるストーリーをとても大切にした生活をされていることがわかる。

例えば、時計を持たない生活の中、窓から差し込む光の角度や、壁に映る影の位置で時間を知る。そんな自由さが心地よいのだという。

春分の日と秋分の日、1年に2回だけ、西の窓から東の窓へまっすぐに光が突き抜ける。季節までも、太陽が告げてくれるのだ。

 
 

音楽は憧れ、ガンダムはバイブル。大人になっても少年の心は忘れない

音楽もまた、畠中さんの人生に欠かせない相棒だ。9歳から始めたフルートの奏者として演奏活動を行う他、「北海道吹奏楽プロジェクト」の代表としてコンサートの企画・制作・出演、吹奏楽の指導なども行っている。

大切にしている木製のフルートは、長沼町の「山田フルート・ピッコロ工房」にオーダーしたもので、畠中さんの口のカタチ、指の長さにぴったりとフィットしている。

そのフルートから流れ出るあたたかな音色は、「音楽は暮らしを豊かに彩る大切なファクター」というメッセージなのかもしれない。

畠中さんは、建築と音楽の関係を「建築物は一度建てると動けない。でも音楽は自由にどこへでも飛んでいける。だからこの2つはお互いに憧れ合ってるんじゃないかな」と考えている。

ここで音楽仲間が語らい、ときにはコンサートが行われるそう。建築と音楽の幸福なマリアージュを体験できる貴重な機会に違いない。

中高生の頃から数多くのコンクールに出場し、演奏家としても活躍。音楽家の道を目指したこともあったそう。
中高生の頃から数多くのコンクールに出場し、演奏家としても活躍。音楽家の道を目指したこともあったそう。

エントランスには丸みを帯びたフォルムのオースチン。愛好家に大切にされてきたストーリーを感じる。
エントランスには丸みを帯びたフォルムのオースチン。愛好家に大切にされてきたストーリーを感じる。

「途上の家」は、畠中さんのギャラリーでもある。エントランスには50年前のオースチン・オープンカーがあるのだが、「この車、家の中を通って東側の庭まで抜けるんですよ。道の途上にある家だから、車が通るのもいいかなと思って(笑)」。

冬になると室内に移動させ、シートをソファ替わりにすることもあるそう。「車でお酒を飲むなんて、ここじゃないとできないでしょ?」とイタズラな表情を見せる。

2階にはガンプラ(ガンダムのプラモデル)がズラリと並び、箱が山積み!仕事に煮詰まったときには、黙々とガンプラ作りに没頭することもあるそう。

一見メカ好きかと思えば、一枚板の大きなテーブルや木製の椅子など、ぬくもりある木製の家具にも愛着を感じているご様子。

「僕にとっての音楽と建築のように、個人が持っている特性と建築がマッチすると、とても幸せな空間が完成するのです。この家がライフスタイルを見つめ直すきっかけになってくれると良いですね」。

 
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