モノにまつわる思い出も大切にしたミックステイストのインテリア
小川 弥生 さん
- 札幌市清田区在住
- アパレルやブライダル関係の仕事を経て、スタイリストに転職。現在はテレビ番組や雑誌、CMなど幅広い分野で活躍中。お嬢様は東京の大学に通っているため、現在はご主人とふたり暮らし。


今ある家具に合うように… それがモノ選びの基準
「我が家のインテリアは、和洋折衷なんです」。そんなお話を伺いながら訪れたお宅は、本当にさまざまなテイストがミックスされた個性的な空間。
中国風の家具、民族風のファブリック、アメリカンな小物…。新しく買ったのはごく一部で、以前からずっと使い続けているものが多い。一見ごちゃごちゃしそうに感じるが、小川さんのフィルターを通すと全てがマッチし、居心地の良い空間が成立している。
キッチンとリビングの間に置かれている円形の飾り棚は、特にお気に入り。以前住んでいたマンションに引っ越す際、一目惚れして買ったものだそう。しかも部屋がまだ決まらないうちに…。
以来、「この棚がインテリアの中心になっているんです。他の家具を買うときにも“この棚に合うように”と、バランスを考えて選んできました。似たようなデザインは他にもあるのですが、ここまで厚みがあるものはなかなか無いんですよね」と小川さん。
細かく仕切られた棚には、思い出の写真や小物がぎっしりと並べられ、愛着を持って大切にしているのだなと感じさせられる。

外側が白っぽく中心部が赤いアフリカンパドックは徐々に色が変化してくるので、これからどんな風合いになるのかが楽しみ。

洗面台はおしゃれなカフェの化粧室のよう。こんな可愛いアンティークの鏡があれば、朝のお手入れが楽しくなる。
がっしりとした1枚板のダイニングテーブルは、中心部分が鮮やかな赤い色。アフリカンパドックという木でできており、使うほどに色が変化してくる。
リビングにある深い赤のソファは、ダイニングテーブルの赤とも調和している。「見た瞬間に、皮の色がすごく気に入っちゃって(笑)。赤にも色々ありますが、この赤じゃなければ買わなかったと思う」。
色にこだわりがあるのは、お父様の影響だそう。「父はとても美意識の高い人で、子どもの頃から洋服のコーディネートにもうるさかった。そのおかげで人一倍、色には敏感になったんですよね」。
洗面台のタイルや壁を飾るアートの選び方にも、小川さんの色選びのセンスがうかがえる。「洗面台で一番のお気に入りはアンティークの鏡。ライトは鏡に合う真鍮でできたものを選びました」。なるほど、木・皮・真鍮など、使い込むほどに味わいが出てくる素材や民族的なニュアンスのある小物がお気に入りのご様子。
「物を捨てずにできるだけ長く使い続けたいと思っているので、自然とそういう素材を選んでいるのかもしれませんね」。
わざと“はずす”さじ加減がセンスの善し悪しを決める
「お手洗いも可愛いの」という小川さん。「トイレファブリックは偶然出会ったもの。壁の絵とほとんどお揃いなんですよ」。説明を聞かなければ、セットで販売されているものか思ってしまう。
その他にも、真鍮でできたアンティークなデザインのペーパーホルダーや、小物のあしらい方など、すみずみまで手を抜かずにコーディネートされているのをみると、さすがスタイリスト!と言わずにはいられない。
また、廊下やリビングの壁にはアートが飾られインテリアにリズム感を生み出している。「好きな画家はピカソとマティス。明るい色彩がいいなと思って」。この家に越すときには、以前から持っていた絵とのバランスを考えながら、1枚だけ買い足したそう。
お部屋のコーディネートのポイントは?と伺うと、「私、インテリアもファッションも少しだけ“はずした感じ”が好きなんです。上から下までビシッと決めるのではなく、小物はカジュアルにするとか、プチプライスの物を持ってくるとか。そのさじ加減に私らしさが現れているのかもしれませんね」。

明るい色がポイントに使われているお手洗い。真鍮のペーパーホルダーもお気に入りのひとつ。

縦格子の向こうには、落ち着いた雰囲気の和室が広がる。ここでご主人がお仕事の打ち合わせをすることも多い。
最後に見せていただいたのは、和室。縦格子の引き戸、床の間の代わりに…と作ったコーナー、木製シェードの照明など、畳と木でシンプルに構成され、静かな空気が漂っている。
実はこの部屋のすぐ手前はご主人の仕事スペースで、パソコンやギターが並び、アメリカンテイストでまとめられている。訪れる人誰もが、和室とのギャップの大きさに驚くのではないだろうか。
インテリアを通して感じるのは、モノを大切に使う小川さんとご主人のあたたかい人柄。木製の床や家具にはオイルを塗って手入れを続け、皮は味わいが出るようていねいに扱う。家の随所に置かれている観葉植物も、成長する姿を楽しみながら育てる。
家の前の持ち主が植えた庭のバラも、「咲いているのを見たら嬉しいかなと思って大切に育てているんです(笑)。ときどき遊びに来て、リフォーム後の家の中をみたり、バラの手入れ方法を教えてくれたり。そんな良い関係が続いています」。
モノだけではなく、その後ろに隠れている思い出や人とのつながりにも愛着を感じながら暮らしている小川さん。そこにスタイリストならではの審美眼と、ちょっとだけ“はずす”テクニックが加わり、誰にもマネできないインテリアが完成するのだと感じた。



