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株式会社カネキ小飼商店 小飼 英祐さん 由紀子さん

投稿日:2025.2.6

小売店

今回は、創業115年の歴史を持つ株式会社カネキ小飼商店の代表取締役、小飼 英祐さんと奥様の小飼 由紀子さんにお話しを伺いました。

サッポロ不動産開発 永井(以下、―)カネキ小飼商店の歴史について教えていただけますか?
小飼 英祐さん(以下、小飼さん):創業は1910年で、もともとは米屋としてスタートしました。長野県茅野市出身の小飼清右衛門が明治初期に白石村・厚別地区に入植、長野から赤毛の種籾を持ち込み、米作りで成功を収めました。清右衛門は北海道でも米作りの先駆者となりました。その後、養子として迎えられた小飼喜太郎が事業を引き継ぎ、米作りを続けました。さらなる発展を求め一度新十津川に移りましたが、最終的に子供たちの教育を考慮して街に近い方が良いと判断し、その後再び札幌に戻り、現在の苗穂に移り住み、米を扱う商売を本格的に始めました。


―小飼さんは何代目になりますか?
小飼さん:創業から数えると四代目になります。二代目の時に株式会社カネキ小飼商店として法人化され、私は四代目店主として2002年に商売を引き継ぎました。歴代を簡単に説明すると、初代は小飼喜太郎で、米と養鶏業を中心に卵の販売も行っていました。二代目・祖父の小飼栄次は戦後、米の事業を親戚に譲り、お酒の販売免許を取得し酒屋への転換を図りました。三代目は私の父、小飼弘二です。私が引き継ぐまでは、雑貨なども扱っていて、昔ながらのコンビニのような商店でした。

―四代目として大切にしていることは何ですか?
小飼さん:「良いものを扱う」ということを常に心がけています。特にお酒に関しては、品質の高い商品を取り揃え、お客様により美味しいと思うものを提供したいと考えています。また、この場所に対する深い愛着があり、地域を大切にしていきたいと思っています。


―2018年にお店をリニューアルして立ち呑みを始めたと聞きました。そのきっかけは何だったのでしょうか?
小飼さん:実は20年以上前から、中央区と東区を繋ぐ新しい苗穂駅の構想があるという話を耳にしていました。2012年頃、駅の再開発計画が本格的に動き出した時に、お店の改装を考え始めました。老朽化も気になっていたため、駅の移転に合わせて改装を決断し、2018年7月にリニューアルを行い、同年11月には苗穂駅も新たな場所に移転しました。




―お店では奥様が食を、ご主人の小飼さんがお酒を担当されていると伺いました。おすすめの食とお酒の組み合わせがあれば教えていただけますか?
小飼 由紀子さん(以下、由紀子さん):私は北海道庁で食産業の人材を育成するフード塾OB会「北海道絶品づくり集団 E-ZO」の事務局長として活動しており、そのつながりで道内の美味しいおつまみを集めてお客様にお届けしています。
お客様が来店してどのお酒を選ぶか迷っている場合、まずは食事内容を伺い、それに合うお酒を主人と一緒に提案しています。いまの店内でのおすすめの組み合わせは、北海道初のオーガニック日本酒「上川大雪」と、合鴨のレバーパテ、そして鮭ジャーキーです。合鴨のレバーパテの塩気が「上川大雪」のまろやかさと相性が良く、お酒の旨味が引き立ちます。また、鮭ジャーキーの燻製感も日本酒と調和し、とても美味しくいただけます。



―美味しそうですね。ところで、「日本酒オールスター燗謝祭」というイベントは、小飼さんが企画運営されたとお聞きしました。始めたきっかけなど教えていただけますか?
小飼さん:このイベントは、地域活性化を目的として始めました。「創成東のつどい」という地域の活動に参加しており、その中で北海道神宮頓宮を舞台に「下町マルシェ」というイベントが立ち上がりました。その流れで、地域の活性化の一環として、日本酒をテーマにしたイベントを開催したいと考え、3年間の準備を経て、2017年に神社で日本酒を愉しむ「日本酒オールスター燗謝祭」をスタートさせました。
由紀子さん:東京の神田明神で行われていた日本酒のイベントを見て、神社と日本酒の相性の良さを実感し、同じようなイベントをこの地域でも実現できたらと思ったのがきっかけです。イベントの名前は京都で開催されていた「日本酒オールスター燗謝祭」の許可を得て使用しています。2018年は胆振東部地震の影響で中止となり、2020年から4年間はコロナ禍で開催できませんでしたが、2024年開催時には700人を超える方々が来場しました。

―「日本酒オールスター燗謝祭」の運営に関わる方々についても教えていただけますか?
小飼さん:運営は一般社団法人「さっぽろ下町づくり社」と協働で行い、お酒は道内外の蔵元に協力をお願いし、直接お酒を提供してもらっています。お客様には蔵元と直接交流しながら日本酒を楽しんでいただけることを大切にしています。2024年は道内外から5つの日本酒蔵と、北海道のクラフトビールのブルワリー、積丹ジンにも参加していただき、盛り上げていただきました。フードの出店は「北海道絶品づくり集団 E-ZO」のメンバーを中心にお願いしています。2025年も開催予定ですので、ぜひ楽しみにしていてください。


―地域活動についても伺いたいのですが、苗穂駅周辺まちづくり協議会の理事をされていたと聞きました。活動について教えてください。
小飼さん:私は2016年から苗穂駅周辺まちづくり協議会の理事として参加し、苗穂再開発と銘打って月1回の定例懇親会や「びっくり野菜市」を開催しました。年に数回豊平川河川敷での美化活動など、苗穂地域に根差した取り組みも行ってきました。2018年に苗穂駅が移転し、2021年に新しいマンションなど駅周辺の開発が一段落した後、2023年に協議会は解散しましたが、今も地域活動は続けており、株式会社ノーザンクロスと共同で街づくりの活動団体「naeboでasobo」を2023年に立ち上げ、「苗穂0番線マルシェ」というイベントや美化活動などを開催しています。



―地域の変化と創成イーストの未来についてどう感じていますか?また、メッセージなどあればお願いします。
小飼さん:最近、若い人たちが地域活動に積極的に参加し、地域への意識が高まっていると実感しています。新しいマンションの建設などが進むことで良い循環が生まれていますが、古い建物が壊されることに少し心配を抱いています。今後5年ほどで、新幹線の停車場や電線の地中化などによりまちがさらに美しく変わると予想していますが、味気ないまち並みになるのではないかという懸念もあります。私は、古いものを活かす方法を考え、若い世代がこのまちに根付き、愛着を持って活動できるような空間作りを大切にしたいと考えています。地域活動やコミュニティづくりが地域の活性化につながり、例えば「苗穂0番線マルシェ」のようなイベントを通じて、住民同士の交流を深めていきたいです。
創成イーストが魅力的な場所となり、住民が誇りを持てるまちになるよう、みんなで未来の創成イーストを作っていけたら嬉しいですね。

プロフィール

  • 小飼 英祐さん 由紀子さん

    取材先:株式会社カネキ小飼商店
    所在地:札幌市中央区北2条東11丁目23番地
    営業時間:
    平日:10時-21時(立ち呑み・角打ちタイム:15時-21時)
    土曜:10時-18時(立ち呑み・角打ちタイム:12時-18時)
    定休日:日曜・祝日
    アクセス:JR苗穂駅 南口 徒歩2分
    電話番号:011-241-6045

    公式サイト:https://www.kogaisake.com/

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