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のれん 磯部 智佐登さん

投稿日:2025.6.6

飲食店

今回は「のれん」の代表、磯部智佐登さんとメンバーの森山空さん、須田桃加さんにお話をお伺いしました。地域のつながりをクリエイティブの力で結び、地元の魅力を企画・プロモーション・発信する彼らの活動と思いについてご紹介します。

サッポロ不動産開発 永井(以下、―):磯部さんが創成イーストと出会ったストーリーを聴かせていただけますか?

磯部さん:最初は寿珈琲のオーナー柴田さんとの出会いがきっかけでした。札幌市伏古出身の私は、約3年前からこのまちに関わるようになりました。当時、私は引きこもり気味だったのですが、柴田さんとの出会いで地域活動に参加するようになりました。最初の仕事は札幌祭りの旗を立てる手伝いでした。その後、地域でボランティア活動をしたり、おじいちゃんおばあちゃんの手伝いをしたりして、このまちを知るところから始めました。


―:「のれん」はいつ頃から活動を始めたのですか?

磯部さん:正式に「のれん」として活動を始めたのは2024年2月からです。それまでは下町ランウェイなどのイベントを通じて地域との関わりを深めてきました。

森山さん:「下町ランウェイ」は下町づくり社さんから何か企画をやりたいという声があり、磯部が企画案を提案したことから始まったイベントです。お神輿のランウェイというコンセプトで名付けられました。

森山さん:このイベントを通じて、人とのつながりやクリエイティブの力を活かして地域に貢献できると感じたことが、後の「のれん」結成につながっています。

磯部さん:「のれん」という名前には、まちにのれんをかけ、暖簾をくぐるように人の往来を作るという意味があります。のれんをかけることで、まちとまち、人と人をつなぐ。そんな思いを込めています。


写真左より:森山さん、須田さん、磯部さん

―:活動の中で大切にしている価値観はありますか?

磯部さん:二つあります。一つは「それが誰のためなのか?」ということ。クリエイティブや何かを生み出す時に、自己満足だけじゃなく人のためになっているかを考えます。もう一つは「三方よし」。買う人、売る人、お客様、自分たち、お隣さん、みんながハッピーであれば商売も長く続くし、素敵だと思います。

森山さん:名刺の裏にはビジョンとして「人やまちの生き様を魅力に変えていく」と書いてあります。この地域には個人経営の店がたくさんあり、その魅力を発信する中で大切なことに気づきました。単なる情報発信では人は動きませんが、店主の人となりや「生き様」という本質的な部分を知ることで、情報の重みが全然違ってきます。人の「生き様」や強い思いに焦点を当てて伝えていくことが大切だと、このまちで活動する中で強く感じています。

―:なるほど、「生き様」を伝えることで商品の背景にある思いや歴史が伝わり、より深みが生まれるのですね。 

磯部さん:例えば、単に「この珈琲がおいしい」というだけではなく、「なぜ生まれたのか」「何を伝えたいのか」という思いを大切にしています。地元の人との繋がりがあって初めて、私たち地域商社のクリエイティブが成り立つのです。


―:「のれん」の活動について教えてください。

磯部さん:私たちは地域商社として、企画から販売まで一貫して行っています。例えば、地元の特産品を一緒に企画したり、プロモーションしたり、販売したりします。拠点は「のれんスタンド」です。

森山さん:「のれんスタンド」はKATO SHOTENの一角にあり、寿珈琲オーナーの柴田さんが監修して、寿珈琲の豆を使用しています。現在は任意団体での運営ですが、5月に法人化申請を予定しています。簡単に言うと、地域のつながりをクリエイティブの力で解決していきたいというのが私たちの活動です。


―:皆さんの役割分担はどうなっていますか?

磯部さん:私はビジョンや旗振り担当です。ゼロイチで新しいアイデアを考えたり、まちの人たちと話をして関係を作ったりします。世界観を作って、それを森山と須田が形にしてくれます。地元の方々と仲良くなるのが得意で、カメラを使って人とつながることも大切にしています。

森山さん:私はディレクターやプランナーのような役割です。整理するのが好きなので、メンバー間や社外とのやり取りがスムーズに進むよう調整する役割を担っています。

須田さん:私は写真、映像、広報を担当しています。磯部と似ている部分として「これやりたい!やる!」と走っていくタイプです。また、韓国語が得意なので、それを活かした事業展開も考えています。

―:3人で活動する上で大切にしていることはありますか?

磯部さん:「ありがとう」と「ごめんなさい」を大切にしています。お互いの得意・不得意を補い合い、感謝の気持ちを常に持ち続けることを意識しています。

須田さん:3人でいると、それぞれに波があったりします。お互いが大変そうなときは声をかけるようにしています。仕事面だけでなく、心の内面的なところでも話をするようにしています。


―:創成イーストの魅力はどんなところだと思いますか?

森山さん:小さなお店がたくさんあり、「寄り道できる場所」です。サッポロファクトリーや永山邸など、歴史も感じられます。

磯部さん:札幌の下町だと思います。中央区という都会的な場所なのに、この地域では挨拶が交わされる温かさがあります。地域の方々には下町としての誇りがあるように感じます。

―:そんな魅力あふれる創成イーストで、「のれん」として手がけられた具体的なプロジェクトはありますか?

磯部さん:KATO SHOTENオーナーの加藤さんの発案で、日本清酒が醸造したお酒「お東(とう)さん」があります。「のれん」はパッケージデザインからSNS発信、営業活動などを担当しました。加藤さんから、地域で作ったものを若者たちに広めてほしい、そして私たちの声とデザインでこの商品を表現してほしいという依頼をいただきました。
「お東さん」は地域限定のお酒として大切にされており、基本的にはまちの外での販売はしていません。創成イーストエリア内の飲食店や酒販店でのみ購入できる特別なお酒です。


―:今後の展開について教えてください。

磯部さん:私たちは「下町から世界へ」というビジョンを掲げています。創成イーストには世界ブランドになれる可能性があると思っています。具体的な計画として、キッチンカーを使った「旅する商社」を考えています。北海道各地をまわりながら地域の人々と交流し、特産品を集めて、また別の地域へ移動する。そんな活動を通じて、創成イーストと北海道の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいです。また、まちを盛り上げるためのクラウドファンディングも計画しています。この創成イーストをさらに盛り上げ発展させるには、もっといろんな仲間や友達との出会いが必要だと感じています。

森山さん:クラウドファンディングについては現在準備を進めているところです。今後の展開にぜひご注目いただければと思います。

―:最後にこの地域の人に向けてのメッセージをお願いします。

磯部さん:本当に感謝の気持ちでいっぱいです。この創成イーストに拾われて今の僕があります。この地域の人たちの温かさが「のれん」という形で活動するチャンスをくれました。最近気づいたのは、私たちは「まちづくり」をしているのではなく、このまちの一員として皆さんと共に生きているということ。人と人とのつながりを大切にしながら、地域と共に成長していきたいです。この地域の皆さんには末永く健康でいてほしいと心から願っています。

プロフィール

  • 磯部 智佐登さん

    取材先:のれんスタンド
    所在地:札幌市中央区南1条東4丁目 北海道新聞社本社ビル1階
    営業時間:9:00~18:00
    イートイン可能時間:
    平日9:00~11:00、14:00~17:00/土曜日9:00~17:00
    定休日:日曜日
    アクセス:地下鉄東西線 バスセンター前駅7番出口 徒歩1分

    公式サイト:https://www.instagram.com/hokkaido.noren

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