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KATO SHOTEN 加藤 公彦さん、加藤 優弥さん

投稿日:2026.6.30

飲食店

今回は、創成イーストエリアで長年愛される「KATO SHOTEN」の店主・加藤公彦さんと、息子の優弥さんにお話を伺いました。この街でお客様の声に応えながら変化してきた店の歩みと、親子二代で受け継がれる商売への思いに迫ります。

〜時代と共に変化する商売の形〜

ーーはじめに、KATO SHOTENの成り立ちと、現在のお仕事について教えてください。

公彦さん:もともとは昭和11年に塩、味噌の販売から始まりました。
その後高度経済成長期に、うちの仕入れ値よりも安く売るディスカウントストアが増え、「コンビニにするか、店をやめるか」という二択を迫られ、私の親は店を半分壊して「もっきり」を始めました。これが今の店の原型です。
そこから時代と共に形を変え、今は本店や、市民ギャラリー店、ルトロワ店での製造・販売と、地元の学校への配達事業などを行っています。


ーーかつての販売業から、現在の飲食店の「KATO SHOTEN」へはどのように変化したのですか。

公彦さん:始まりは全て、お客様の要望でした。うちは酒屋だったので、店でお酒を出しながらつまみを提供し始めたんです。ソーセージやシーチキンを温めて出したら、お客さんが「もう1杯」と喜んでくれて。さらに「ご飯ものは出さないの?」と言われてランチを始めました。今のお店の形は全て、お客様の要望から出来上がっています。


〜親から子へ、受け継がれる商売〜

ーーありがとうございます。それでは次に優弥さんがお店を始めたきっかけを教えてください。

優弥さん:もともとおしゃれが好きなのもあり、高校卒業後は美容師の専門学校への進学を考えていました。でも、自分が本当にやりたいのは髪を切ることではなく、人と深く関わることなんだと気づいたんです。美容師を目指したのも、人と一対一で向き合える仕事に魅力を感じていたからだと思います。

そんなとき、ふと「こんなに近くに店があるじゃないか」と思い、父に相談しました。父は二つ返事で「よし、やろう」と言ってくれ、一緒にお店をスタートしました。

ーーお店を始めてみて、親子で一緒に働く難しさは感じますか?

優弥さん:いやぁ、今でも毎日、現場はぶつかり合いみたいな状態です。(笑) やり方も違えば、意見の違いもしょっちゅうあります。

ーーそうなんですね(笑)
そんな中で、お二人が共通して大切にしていることはありますか?

公彦さん:あえて話し合ったことはないです。やりながら自分で気づいて、変わってくれたらと思ってます。ただ、唯一共通するのは「お客様のため」という軸。ここだけは徹底的に教育してきました。

優弥さん:そうですね。その点は一緒ですし、本当に尊敬しています。


ーー加藤さんの中で「お客様のため」というのはいつから意識されていたのですか?

公彦さん:それはね、僕が小さい頃、商売をしていた祖母が小さな子供に対して深々と頭を下げて「ありがとうございました」と言っていて。僕はそれを見て「なんでばあちゃんの方が年上なのに、子供に頭を下げるの?」と聞いたんです。すると祖母が「将来のお客様よ」と。当時はわからなかったですが、思えばそれが私の商売の原点なのかもしれません。

ですから、うちの店では老若男女問わず、一人ひとりのお客様を大切にしています。例えばランチで「この人は漬物を食べないな」と気づいたら、他の副菜に変える。そうすれば、その人だけの定食になるでしょう。これがホスピタリティの一番大事なことで、うちの店で大切にしていることなんです。


優弥さん:父のそうした姿を見て、僕も実践するようになりました。「普通のご飯の量じゃ少し足りないのかな」と思ったら、大盛り料金ではなく、普通盛りを少し「こんもり」にして出す。そんな、生まれながらにしての商人気質みたいなものは、うちの家系に流れているなと感じます。

ーーそんな商売人としてのお二人が「家族」に戻る瞬間はありますか?

公彦さん:日曜にどちらからともなく電話して、昔から私の父と行っていた焼肉屋で飲んでいるときですかね。

優弥さん:そうですね。他愛もない話をして、気づいたら家に帰っていて。最近、僕も家族としてちゃんと父と向き合いはじめているので、親子としての関係も大事にしていきたいですね。


〜困っている人を放っておけないー個人の繋がりから生まれるセーフティネット〜

ーー公彦さんは地域活動の中で、昔から少年野球のコーチやPTAなどもやられているとお聞きしました。

公彦さん:よく「地域貢献」や「地域愛が強い」などと言われるのですが、私自身、その思いはあまり強くないんです。ただ、困っている人が目の前にいたら「自分だったらこういうことができるな」という、個人の繋がりの積み重ねなんです。

優弥さん: 父はとにかく、頼まれたらすぐに手を挙げる人です。幼い頃は不思議でしたが、自分も地域の活動に入ってその意味がわかるようになりました。こうして一等地にお店を構えられているのも、父が大切にした繋がりの結果なんだなと実感します。

ーー特に公彦さんが副会長を務められている、北海道神宮頓宮のお神輿会は大きなコミュニティになっていますね。

公彦さん: 道内で2番目に大きいお神輿なのですが、昔は人数が少なくて担げなかったんです。それが今では400人規模になりました。

優弥さん: これだけ人が集まるコミュニティって数少ないと思うんです。僕もこの街を歩いているときにすれ違う人と挨拶する回数が増えましたし、この温かい環境だからこそ、街に人が集まる。せっかくのコミュニティなら、生かさないともったいないなと。

ーーその400人の繋がりをどう生かすか。そこにはどんな可能性を感じていますか?

公彦さん: 繋がって会話が生まれると、その人の背景が見えてきます。「この人はいつも何時くらいに帰るんだな」と分かると、「最近あの人見ないね」と、互いを気にかけるようになる。これがまさに、生存確認の連絡網になるんですよ。例えば有事の際、この400人が一気に情報を回せる。こうした街の機能が、本来の町内会やコミュニティが作りたかった姿なのではないかと思います。


〜必要とされ続ける店に。〜

ーー地元の学校への配達や調理実習のサポートなど、加藤商店の枠を超えた活動も増えていますね。

公彦さん:これも自分からお願いしたことではなく、全てご縁なんです。「こんなことで困っている」と相談があったとき、うちから近かったから、作ったものを持っていこうと繋がってきただけ。お給料というのは、稼ぐものではなく「ありがとうをどれだけいただいたか」の数なんです。必要とされなくなったら、お店もなくなりますから。

優弥さん:本当に、人のために尽くす事業だなと思います。この街に生まれ育ったからこそ、みんなが帰ってきたときに集まれる「居場所」を、僕らの代でも守り続けていきたいです。

ーー最後に、創成イーストの方々に向けてメッセージをお願いします。

公彦さん:本当にやりたいことは、実は今の自分のフレームの外にあります。だから、どんどん挑戦し、フレームを大きくしていってほしい。特に若い人たちには、自分たちのチャレンジで街をどんどんアップデートしていってほしいですね。

優弥さん:もっともっと楽しい地域になると思うので、ぜひ皆さん遊びにきてください!


写真左より:優弥さん、公彦さん

プロフィール

  • 加藤 公彦さん、加藤 優弥さん

    取材先:KATO SHOTEN 本店
    所在地:札幌市中央区大通東4丁目2番地 北海道新聞社ビル1F
    営業時間:ランチ 11:30-14:00 ディナー 18:00-22:00
    定休日:毎週日曜日 年末年始
    アクセス:札幌市営地下鉄 東西線「バスセンター前」駅 7番出口直結
    電話番号:011-231-5987

    公式サイト:https://www.kato-shoten.jp/