BEER STORY

03札幌産ビール発祥の地

開拓使の事業所群の一角(北2条東4丁目、現在のサッポロファクトリーの地)にビール工場が誕生したのは、ケプロンが最初に札幌を訪れてから5年後の、明治9年(1876)9月23日のことでした。開拓使時代にかんするさまざまな記述のなかでよく紹介される「開拓使麦酒醸造所開業式」の写真は、この日に撮影されたものです。

開拓使麦酒醸造所(明治9年)
開拓使麦酒醸造所(明治9年)

開拓使がつくったビール工場は、最初は木造の建物でした。
ビール醸造が成功し、札幌産ビールが全国に知れわたるにつれて、木造の工場はやがてレンガ造りになり、次つぎと増築されていきました。

開拓使が廃止になったのは、明治15年(1882)のことでした。それにともない、開拓使が造成したさまざまな事業所は民間に払い下げられましたが、それらは時代の流れのなかで次つぎに姿を消していきました。

そのなかでただひとつ、現在に継承されてきたのが、ビール工場です。
明治、大正、昭和と、長いあいだビールをつくりつづけてきたかつての工場の敷地には、宮崎駿のアニメに出てきそうな、蒸気機関車の胴体をいくつもつなぎあわせたような黒い鉄の煙突や、古いレンガの建物がのこっています。開拓使と、北海道開拓時代の記憶を刻む「近代遺産」です。

平成のはじまりと同時に、ビール工場の移転にともない、これらの「歴史的建造物を保存し、工場の敷地をあたらしい商業施設として再生しよう」という都市再開発計画がもちあがりました。

かつてのビール工場のシンボル、煙突
かつてのビール工場のシンボル、煙突
明治25年に建てられたレンガの建物
明治25年に建てられたレンガの建物

そうして、平成5年、サッポロファクトリーが誕生しました。
「さっぽろふるさと文化百選」に指定されている、現在のこる3つのレンガ造りの建物のうち、北3条通りに面したもっとも古い建物は、明治25年に建てられたものです。